
長時間低温発酵がパンの風味に与える影響
- 執筆:
- 清水 誠
- 記事
- 低温発酵
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発酵時間を長くすると、パンの風味が変わります。酸味が増す、甘みが出る、クラムの気泡が大きくなる。これらは発酵中に起きる化学変化の結果です。なぜ長時間低温発酵が有効なのかを、実際の焼成経験から整理します。
低温発酵中に何が起きているか
冷蔵庫(4〜6度)の中でも、酵母と乳酸菌は活動を続けています。ただし常温より活動が遅く、アルコール発酵と乳酸発酵のバランスが変わります。低温では乳酸菌の活動が相対的に活発になるため、乳酸が多く生成されます。これがサワードウ特有の穏やかな酸味の源です。
同時に、酵素(アミラーゼ・プロテアーゼ)が長時間かけてデンプンとタンパク質を分解します。デンプンが分解されると甘みが増し、タンパク質が分解されると生地が伸びやすくなります。この酵素活動が、長時間発酵パンの複雑な風味を作ります。
発酵時間と酸味の関係
発酵時間が長くなるほど酸味は強くなります。ただし、酸味の種類が変わります。18〜22時間の低温発酵では乳酸が主体で、穏やかな酸味になります。24時間を超えると酢酸の割合が増え、より鋭い酸味になります。
Map Vista Studioでは18〜22時間を基本にしています。季節によって発酵の進み方が変わるため、夏は18時間、冬は22時間を目安にしています。冷蔵庫の温度設定も季節によって4〜6度の間で調整しています。
過発酵を見分けるポイント
過発酵した生地は、触ると空気が抜けてしぼんでしまいます。表面に細かい気泡が見え、生地全体がべたつきます。焼き上がりは平たくなり、クラムが詰まった状態になります。
過発酵を防ぐには、発酵の終わりを見極めることが大切です。生地を指で軽く押して、ゆっくり戻ってくる状態が適切な発酵の目安です。すぐに戻る場合は発酵不足、戻らない場合は過発酵です。
発酵時間の調整は、気温・粉の状態・スターターの活性によって毎回変わります。記録をつけながら焼き続けると、自分の環境に合ったパターンが見えてきます。
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